コンタクトレンズ
コンタクトレンズは一度使用すると多くの利点から多くの人に受け入れられ、コンタクトレンズなしの生活は考えられなくなってしまいます。
メガネと違い視界が広く保たれ曇ることもなく、整容的な面からも、眼鏡よりもコンタクトを選択する方は多いでしょう。また、眼鏡はレンズの周辺部にゆがみがあったり、左右の度数の差によってはどちらかの目がしっかり矯正できないこともあります。
コンタクトレンズは利点が多いようにも感じますが、直接目に入れることになるので、眼鏡に比べて目への危険性は比べものになりません。
眼鏡とコンタクトレンズ
視野が広く感じられ、今は必需品のマスクでも曇らず、最近は小学生も装用しているコンタクトレンズは幅広い年代から支持されています。
しかし、目が痛い、充血しているなどコンタクトレンズが目に入れられない状況も多々あり、眼鏡は必ず持っていなければなりません。そんなときに無理にコンタクトを装用すると取り返しのつかないことになることもあります。
眼鏡といっても色々な目的で使われることがあります。
よく知られている近視、遠視、乱視を矯正してクリアな見え方にすることだけではありません。弱視などの治療目的の眼鏡、眼の疾患による眩しさを軽減させる遮光眼鏡、斜視などで両目で二重に見える複視を改善するプリズム眼鏡や片眼遮蔽の眼鏡など用途は様々です。
見たいものの大きさや距離の違いで、遠用、近用、遠近、中近、近々、両用などがあります。
コンタクトレンズと眼鏡の違い
メリット | デメリット | |
---|---|---|
眼鏡 | ・かけはずしが簡単 ・手入れが容易 | ・物の大きさが近視では小さく、遠視では大きく見える ・レンズの周辺部ではゆがみがある ・強い近視や遠視、乱視は十分な矯正視力が得られないことがある ・フレームの部分により、視野が狭く感じる ・左右眼で近視や遠視の度数の差が大きい場合は、どちらかの目が十分な 視力に合わせることができない ・スポーツ時に不向き ・レンズがくもることがある |
コンタクト | ・視野が広く感じる ・ほとんどの激しいスポーツが可 ・外見がよい | ・結膜(白目)炎や角膜(黒目)などの病気を引き起こすことがある ・レンズケアが面倒 ・定期検査が必要 |
!コンタクトレンズを装用できない方
次の項目に該当する方はレンズの装用に注意が必要です。
- 眼の炎症、疾患のある方
- レンズの装用に影響があると思われるアレルギー疾患をお持ちの方
- レンズの取り扱いを正しくできない方
- レンズケアを正しくできない方
- レンズの装用に悪影響を与える可能性のある生活環境にいる方(乾燥、粉塵など)
治療目的の眼鏡
人間の目は生まれたときは0.02程の視力しかありません。いろいろなものを見ることによって刺激され、6歳くらいには大人の人の目と同等となります。この間に何らかの原因で視力の発達が妨げられると弱視になります。眼鏡により鮮明な像を網膜上に合わせることにより、視力の発達を促します。治療のための眼鏡を作るには調節麻痺剤の点眼をして検査をする必要があります。
遮光眼鏡
眩しさの原因の光の波長だけをカットするレンズです。サングラスのように全体が暗くならずに、また疾患によってレンズの色を選択します。
プリズム眼鏡・片眼遮蔽眼鏡
片目で見ると1つに見え、両眼で見ると二重に見える複視という症状を改善する眼鏡です。
上記のレンズの中には公的補助の対象になるものもあります。
また、パソコンやスマートフォンの普及に伴い、ブルーライトカットが施された眼鏡が多く出回っています。学会報告では、ブルーライトカットに対して推奨する根拠がなく、むやみにブルーライトカットをすると悪影響も多少なりともあるとされています。
コンタクトレンズの種類
大別するとハードコンタクトレンズと、ソフトコンタクトレンズに分けられます。
ハードレンズはソフトレンズに比べて酸素が目に届きやすく、また目に異常があった時にはいち早く痛みとして感じられるためコンタクトを外す、眼科を受診するなどの対処ができます。
ソフトコンタクトは包帯のように目の痛みを緩和させ、かえって重症化させることがあります。汚れや菌をレンズ内にため込んでしまう性質もあり、今ではレンズを清潔に保てる使い捨てのレンズが大きなシェアを占めております。ソフトレンズは近年シリコーンハイドロゲルという素材が台頭してきており、ソフトレンズの課題であった、汚れやすさと酸素透過性という相反する問題をバランスよく解決してくれるレンズが主流になってきています。
ハードレンズ | ソフトレンズ | |
---|---|---|
素材 | 硬い | 柔らかい |
装用感 | 異物感があり、慣れるまで時間がかかる | 異物感が少ないので、装用感がよい |
矯正効果 | 近視・遠視・乱視の全てにおいて矯正できる 矯正能力は優れている | 矯正能力は劣る |
レンズ汚れの付着 | 少ない | 多い |
角膜障害・アレルギー | 少ない | 多い |
レンズの耐用年数 | 長い(1~3年) | 種類により様々 (1日~1年半程度) |
装用中のレンズの 紛失・脱落 | やや多い(激しいスポーツは不向き) | 少ない(激しいスポーツも可) |
コンタクトレンズ装用中のトラブル
1.酸素不足
長期にわたりコンタクトレンズを装用すると、慢性の酸素不足となり、角膜の細胞(内皮細胞)が減少します。内皮細胞はいったん減少すると元にはもどりません。
正常な角膜内皮細胞密度は3000/m㎡ですが、細胞が一定の数以下になると、角膜が混濁し、眼鏡やコンタクトレンズでも良好な視界が得られなくなります。角膜内皮細胞が減少する途上では痛みなどの症状はないので、6か月おきくらいに角膜内皮細胞検査を受けることをお勧めします。
2.結膜炎・角膜障害
一般的にソフトレンズの方がハードレンズよりも発症頻度が高いと言われています。ソフトレンズはレンズ内に細菌を溜めやすく、またレンズ自体が包帯の役目をして痛みの感覚を鈍らせ、治療開始を遅らせるためです。
そのため現在では、ソフトレンズを清潔に保つために使い捨てが主流となり、眼疾患の発症を少しでも予防する効果が期待できます。
3.角膜の傷
コンタクトレンズそのものによるものや、装脱時に誤って爪などで触れることが原因で角膜が傷つき、痛みや充血などの症状が現れます。
4.ドライアイ
ドライアイとは涙の量が不足し、眼の表面が乾いている状態です。涙の量が少ないと、酸素や栄養が角膜全体に十分に行き渡りません。また、殺菌作用や、ごみや細菌の洗浄作用も低下します。
5.アレルギー
レンズの表面に付着した汚れや、涙の量の減少によるアレルギー物質の滞留が原因で、アレルギー症状を引き起こすことがあります。
トラブルを防ぐためには…
- コンタクトレンズは高度医療機器です。取り扱いに気を付けましょう。
- 装用時間はなるべく短くしましょう。
- コンタクトレンズをはずしたときに痛みが出る場合、コンタクトレンズを再度つけてはいけません。
- コンタクトレンズをはずしたときに痛みが出る場合、コンタクトレンズをはずして眼科を受診しましょう。
- コンタクトレンズのケアをしっかり行い、レンズを清潔に保ちましょう。また、忘れがちですがレンズケースも毎日しっかり洗浄、乾燥させ3か月に1度ケースを交換しましょう。
- 必ず定期健診を受けるようにしましょう。また、少しでも眼に異常があればすぐにコンタクトレンズをはずして眼科を受診しましょう。
※眼鏡やコンタクトレンズを作る際には先ず眼科を受診しましょう。メガネやコンタクトレンズでも視力が出にくいことがあります。その場合は目の中の病気が考えられ、眼科受診が必須となります。
※コンタクトレンズの使用にあたっては、眼鏡との併用をお勧めします。
コンタクトレンズの装用中に眼の調子が悪くなっても、眼鏡を持っていないと無理にコンタクトレンズを使用し続けてしまいます。それにより、重篤な眼障害を引き起こすことがあるからです。