糖尿病網膜症

糖尿病網膜症は糖尿病によっておこる網膜の病気です。
かつては日本の成人の失明原因第一位でしたが、治療法の進歩とさまざまな努力の甲斐あって、糖尿病網膜症による失明は減り、現在では三位になっています。しかし、内科と眼科の治療を長く中断してしまうと以前失明の危険にさらされますので、もし何らかの事情で治療から遠ざかってしまった場合、できるだけ早く内科と眼科を受診しましょう。

日本人の糖尿病患者の多くは生活習慣病などと原因とする2型糖尿病で、血液検査をすると血糖値が高いけれども無症状、とういうことが何年も続きます。
だるい、のどが渇く、たくさん水を飲む、やせるなどの全身の症状も、糖尿病になっていてもすぐには現れないことがよくあります。
また、血糖値が高いのを放置しても7、8年たたなければ糖尿病網膜症は現れないとされています。
そして、糖尿病網膜症が現れたといっても、視力を担当する黄斑部に異常のない初期の糖尿病網膜症は全く自覚症状がなく、目の中をのぞいて検査をする眼底検査で出血や白斑を確認して分かるものなのです。
血糖値の高い状態がさらに続いて、糖尿病網膜症が黄斑部まで及んで初めて、見えにくいなどの症状が現れてきます。自覚症状が出るまでに時間がかかり、とことん悪くなってからでは治療が難しい病気が糖尿病網膜症なのです。

糖尿病で失明しないためには毎年、内科の健診を受けましょう。
そして、血液検査で糖尿病とわかったら眼もチェックしましょう。
内科で血糖をコントロールする治療を行いながら、見え方がなんともなくても、眼に異常がないか眼底検査を年に一度は受けてください。その結果、網膜症がすでにはじまっていたら、医師の指示にしたがって、もっと短い間隔で健診や治療を受けましょう。

糖尿病網膜症がみつからなくても、糖尿病の治療を続けながら、年一回の眼科健診を受けてください。

「片目が見えにくいので、やっとやっと運転免許の更新ができた」
「メガネを買ってやっと免許更新ができた」
「三年前もぎりぎりだった。今回はだめだった。」

という人が、やっと眼科に来られたときには両眼の糖尿病網膜症はかなり進んでいるということがあります。

片目が少し見えにくくなった時に、眼鏡をかけて済ますのではなく、眼科でどこが悪いのか調べましょう。

よく見えているあいだから眼の健診を受けるのが基本です。少なくとも片眼が見えにくくなったら、すみやかに眼科を受診してください。早めの治療により両眼の視力が回復する可能性が高まります。

当院では、瞳孔を開かずに眼底の異常を発見することのできる走査レーザー検眼鏡と光干渉断層計を備えていますので、お気軽に受診なさってください。またレーザー治療には瞳孔を開いて行うことが必要ですが、駅近くであり車以外での通院も可能です。